2024年1月を振り返る

衝撃的な年明けとなった2024年1月を振り返り、平常時と非常時について改めて考えさせられました。


写真は、元旦の富士山、中野ネットのサポーターの山賀さんが都庁展望室から撮影された作品です。謹賀新年の言葉を添えていただきました。晴天に映える富士山は初春に相応しい姿を現しています。
中野・生活者ネットワークの2024年は、元旦恒例の駅頭アピール(本ホームページのトップで紹介)で始まりました。晴天の空のもと笑顔で始まった正月でした。

令和6年能登半島地震の発生
最初の衝撃は元日の16時10分、石川県能登半島を震源に震度7の地震とそれに次ぐ津波が日本海沿岸を広範囲に襲いました。能登半島では、特に道路が分断され、港付近の地盤隆起により水路も絶たれて孤立した被災地救援の困難な様子が報道されました。被災地、避難生活を余儀なくしている皆さまが一日も早く平穏な日常へと回復されることを願ってやみません。
震源地近くには北陸電力の志賀原子力発電所(2011年3月11日発生した東日本大震災による福島第1原子力発電所事故以降、運転を停止中)があります。もともと地盤の安全性が問われていた原発です。地震の影響がないか懸念されます。もし、異常が発生したら自然災害ではすみません。なぜ原発を推進したのか、原発立地の選択に問題はなかったか、いくら原発建設、運用に関わる人たちの責任を追及しても原発事故が起きれば取り返しのつかないことを日本は福島第1原発事故で経験しています。電力を利用するすべての当事者が「どれだけの電力が必要なのか」、社会のあり方、ライフスタイルの見直し、適切な自然再生エネルギーへの切り替えも含めた議論をしなければなりません。
地震の発生は人力では止められない自然災害です。しかも想像を超える大地震は想定することさえ不可能です。それでも私たちはできることは災害を最小限に抑える減災への取り組みです。日ごろの備えと共に、行政と市民が総合的なまちづくりのなかで地域の環境と自然についての共通認識を持つことも重要です。

羽田空港火災の発生
能登半島地震のその後の報道を見ていた2日、17時56分に羽田空港C滑走路で離陸待機中の海上保安庁の航空機(海保機)と着陸中の日本航空の旅客機(JAL機))が衝突しました。炎上するJAL機から乗客乗員379名全員が生存していたことは、乗員乗客の冷静な対応が功を奏した奇跡のような出来事でした。奇跡は乗務員の日ごろからの厳しい訓練の賜物といえます。
一方、能登半島地震支援に向かおうとしていた海保機では機長が重症を負い、乗組員5名が犠牲となる痛ましい結果になりました。元旦早々被災地援助に向かう最中に犠牲になった乗組員のご冥福をお祈りするとともに、ご家族や関係者の心中は察してあまりあります。
今回は緊急時であったとしても事故はあってはならないこと、二重三重の安全マニュアル・対応が用意されていても事故は起こりうることを明らかにしました。今後は羽田飛行ルートの安全性と共に離着陸の過密度を検証する必要があります。

非常時への備えを日常生活に組み込む
能登半島地震と羽田空港火災は公共交通の停滞を招き年末年始の里帰りや旅行者の移動手段を奪いました。さらに1月には新幹線の架線事故、大雪による高速道路の大渋滞も深刻な事態でした。日常私たちは、公共交通は予定通りに運行すると思いがちです。しかし、便利なもの、大規模なものはひとたび歯車が狂うと危険と隣り合わせで大事故の可能性をはらんでいます。日常生活の中に災害や事故への備えを意識する必要があります。

福祉と環境は相互関係
初春に相応しい富士山の写真は大地に揺るがないように見えますが、活火山であることを忘れてはいけません。穏やかな晴天の日もあれば自然災害に見舞われる日もあります。(人間の活動による気候変動は異常気象により自然災害を増幅させています)。中野ネットは福祉と環境をすべての人の幸せな生活の基盤と捉えています。福祉は人びとが安心して暮らすための器、環境は安全な社会の土台です。災害が起こると日常の環境が崩れてしまい福祉も成り立たなくなることを私たちは何度も見ています。賑わいのまちづくりも環境が損なわれれば成り立ちません。
環境、自然は100パーセント制御可能なものではありません。地域性(立地、環境、自然)を踏まえて平常時・非常時を統合したまちづくりが必要です。そしていくら備えても起こりうる災害を乗り越えるには、日ごろからの支えあう福祉の精神が必要になります。2024年1月を振り返り、改めて福祉と環境が相互関係にあり、ともに大切にしなければと認識しています。

能登半島地震被災地への募金活動をしています。ご寄付は街頭アピール、事務所でもお受けしています。会友で現在岐阜県高山市在住の樋渡さん(たかやま百果店)を介して輪島市の被災者の皆さまへお届けする予定です。