中野駅周辺をバリアチェックでまち歩き
生活者ネットワークの今年度の活動テーマは「まちのバリアチェック」です。
バリアフリー、ユニバーサルデザインは誰でもが暮らしやすいまちづくりのキーワード、決して新しい言葉ではありません。しかし、まちの中のバリア(障がい物)は、段差、機能ばかりでなく、勘違いや偏見のように、私たちの考え方の中からも取り除かなければならないものです。中野・生活者ネットワークは8月、9月の学習会に次いで、10月8日には実際にまちに出てバリアチェックを実施しました。
バリアフリーについての学習会
8月は、なかの生涯学習サポーターの会副会長 ユニバーサルデザインマップ作成実行委員長の伊藤勝昭さんに、中野区の公共空間のバリア調査とUDマップ作りのお話を伺いました。
9月初めには視覚障がいのある松田茜さんから、日々の生活での工夫とまちでの課題について伺いました。
UDマップを手に歩いてみました
10月8日のまち歩きでは、前2回の講師の伊藤さん、松田さんに加えて小学校5年生2人、細野かよこはじめ中野ネットのメンバー5名の計9名で行いました。コースは午後2時に中野駅北口野方行バス停から出発し、四季の森公園、隣接する杉並区のみどり公園を経由し、早稲田通り大新横丁バス停近くの中野ネット事務所までを、約1時間半かけて歩きました。
まち歩きでは、社会福祉協議会から借りた自走式車椅子に座って自分で操作しながら道路を進んだり、車椅子を押したりを体験しました。車椅子は路上では真っ直ぐに進めません。なぜならば、雨水を側溝に集めるために歩道には緩やかな傾斜があるからです。
伊藤さんからはUDマップの見方と調査の仕方、車いすの扱い方、スマホを用いた道路の傾斜度の測り方などを教えていただき、公園(中野四季の森公園、早稲田通り公園)のトイレを案内していただきました。
松田さんとは、視覚障がいのある方を誘導する歩き方を習ったり、多機能トイレの室内を一緒に確認したりしました。
子どもの視点、障がい者の視点……さまざまな視点で見ることの大切さ
中野四季の森公園の多機能トイレは、介護ベッド、着替え台、オストメイト対応トイレなどが設置されていました。松田さんには多機能トイレは広すぎてかえって不便なことがわかりました(開閉扉案内の点字に誤りがあったので中野区に報告しました)。早稲田通り公園のトイレの入り口は車椅子(幅80センチ)がはいるのにギリギリしかありませんでした。また電灯がつかないので暗くて利用しにくい状態でした(これも報告しました)。
杉並区立高円寺北一みどり公園には、車椅子で使える水飲み場があります。けれども蛇口(正式名称は「立形水飲栓」といいます)の高さが小柄な人には届かないことがわかりました。
歩いていると途中ベンチが何か所かにありました。伊藤さんによると、公園内のベンチは車椅子を押す介護者が休憩するために必要です。中野ネットが構想している「まちなかベンチプロジェクト」はユニバーサルデザインの視点からも大切なことがわかりました。
早稲田大学の地下駐車場入り口には車椅子対応の駐車スペースのサインがありました。
小学生の質問に大人にも「気づき」が
まち歩きを3時半に終えたのち中野ネット事務所で30分ほどまち歩きの意見交換をしました。
小学生から松田さんに「点字ブロックのないところはどうするのですか」と質問がありました。
松田さんは、白杖の先で建物の壁や塀に触れながら歩く、自動車の進んでいる方向に歩く、交差点では自動車の走行や歩行者の動きなど様々な音を聞き分けながら渡ると答えてくれました。
また、信号を無視して道路を渡る自転車や歩行者がいると、とても困るとのことでした。
伊藤さんからはマップ作り必携7つ道具を見せていただきました。
細野かよこは10月14日から始まる「ユニバーサルデザインマップ作り講座」に参加します。言葉では知っているつもりのバリアフリー、ユニバーサルデザインでしたが、奥深さを知るバリアチェックのまち歩きになりました。バリアフリーは大切なテーマ活動なので政策提案につなげていきたいです。