[遊びは子どもの主食です! では遊び場は? 子どもが遊べる公園の条件
「遊びは子どもの主食です」。これは日本医師会、日本小児科医会が作成したポスターのコピーです。
「子どもの遊び場を確保するのは地域の大人の責任です!」とあります。では、子どもはもりもりと主食を食べるようにどこで遊べるでしょうか? 私たちの答えは「自然地、緑地、公園」です。
東、南、西を高層ビル群に囲まれた「四季の森公園」
2020年は、コロナ禍による非常事態宣言や外出自粛で自宅での過ごし方が話題になりました。運動不足解消に自宅周辺でお散歩をする人や公園で過ごす人の姿が目立ちました。大人や子どもがもっとのびのび過ごせる緑地・公園が必要です。区民の利用度が高まるとともに公園の広さ、身近さ、心地よさなど公園の質が一層気になります。
今年7月に見学した広町みらい公園では、日陰になる樹木やあずまやがなく、炎天下の広場が暑すぎて子どもたちの遊び場にならないことを報告しました。
では、冬はどうでしょうか?これからの冬至(12月21日(月))を中心に12月から1月にかけての時期は、日照時間が短くなり日差しが貴重です。冬の柔らかな日差しを受けた公園は明るく暖かく、子どもにとっては格好の遊び場、大人にとっては散歩や日向ぼっこに最適です。しかし、冬は太陽が南に傾くので公園は周囲の建物の影響を受けやすく、一端日陰になると底冷えがして長くとどまっていられません。
皆さん、冬至のころに中野駅北口にある四季の森公園に行ってみてください。日陰の公園が如何に悲惨かは、四季の森公園に行けばわかります。写真は公園ができて間もないころの冬至の正午に撮った写真です。公園南側のセントラルパークビルの影が中野中学校の近くまで伸びています。東、南、西を高層ビル群に囲まれた公園は一日の長い時間帯をビルの日陰に覆われます。
公園づくりに必要なのは、公園を必要とする市民の声
この一帯はもともと2001年に移転した警察大学校等施設などの跡地ですが、古くは江戸時代には生類憐みの令の広大な犬の「御囲」があったことで歴史に名をとどめています。警察大学校等の移転が決まった1980年代から中野区では盛んに「跡地」利用が話題となり、区民参加で公園や文化施設の建設の夢が描かれていました。しかし前田中区政で実際に跡地の街づくり計画が動き出すと公園面積は減り、周囲の建物が高層化して現状の区画に切り分けられました。一見きれいに整備され、公園面積も確保されたかにみえますけれども写真のように冬季に日当たりの悪い公園は大規模開発の添え物の空間でしかありません。
四季の森公園のような空間が作り出されたのは当時計画作りに携わった人たちが、利用者の立場に立った公園づくりに考えが及ばなかった結果です。そもそも、冬温かく、夏涼しい空調のあるオフィスで計画を作る人たちには公園は利益を生まない維持管理費のかかるインフラでしかないのかもしれません。つまり公園の価値のわからない人たちが公園を作る都市計画の決定権を持っているのです。だからこそ、公園づくりには公園を必要とする市民の声を届けなければならないのです。