ウィズ・コロナとGo Toキャンペーンから見えるもの

支離滅裂な新型コロナ対策

コロナ禍発生以来、市民生活は政府・行政の決定により、かつてないほどの規制を受けています。未曽有の災疫とはいえ、政府のコロナ対策は妥当性に欠け支離滅裂に見えます。

例えばオリンピック延期決定の判断の遅さ、拙速な学校休業要請、お粗末で無駄な支出の目立った布製マスク(「アベノマスク」と揶揄された)の配布、給付金対象の迷走など多々ありました。最近、理解に苦しむのは、「Go Toトラベル キャンペーン」です。なぜなら、コロナ感染者が急増しているこの時期にやる必要のない「不要不急の政策」をスタートさせたからです。

ウィズ・コロナの新しい日常と新しい政策

緊急事態宣言解除後、国民はウィズ・コロナの新しい日常生活への移行が求められてきました。多くの市民は自らと周囲の人びとの命と健康を守るために、感染予防の励行ばかりかライフスタイルと価値観の変換という痛みを伴う行動をとってきました。中にはおうち時間を経験し自らの生活を見直しもっとゆっくり丁寧に生きようという人びとも増えています。市民がウィズ・コロナの新しい日常を受け入れたのは、政府に言われるまでもなく、命と健康を守るために必要を感じたからです。

しかし現時点でのGo Toキャンペーンは旅行者に助成金を出して観光を促進する緊急性がないばかりか、コロナ感染を回避するための外出自粛要請・三密防止と矛盾しています。さらに感染者が多い東京都を対象外としたことに不公平感が否めません。

国民には「ウィズ・コロナの新しい日常」への変化を求めながら、政府はGo Toキャンペーンを始めたことでコロナ以前の古い価値観から変わろうとしていないことを露呈しました。政治、経済活動もウィズ・コロナ時代の新しい政策と行動規範を示してほしいものです。

不要不急の政策の見直しを

さて、近年政府がエネルギーを注いできた不要不急の政策に国際観光の推進があります。コロナ禍が起こらなければ、今頃は東京オリンピック2020で日本中が沸き、次いでカジノのできるIR(integrated resort・統合型リゾート)開発で国際観光(インバウンド観光)推進を加速させようとしていました。

3月下旬に始まった都心の住宅地上空を低空で飛行する羽田空港新飛行ルートの運用は、インバウンドの観光客増加を期待したものでした。けれども、年初に発生したコロナ禍は世界情勢を一変させてしまいました。国際観光、イベントやカジノがコロナ感染拡大の原因(人びとの移動と密集)になることは容易に想像できます。

羽田都心上空新飛行ルート

インバウンド需要を見越した羽田国際便増発(新ルート)の運用開始以来、私たち(中野区民)は頭上に響くジェット音に何度上空を見上げ、機影の大きさに驚かされたことでしょう。羽田新ルートのジェット音は、国が都民の平穏な日常生活より不要不急の国際観光を大切にしている証左であり、グローバル時代の交通公害といえます。

世界的にも国内においても一向に衰えぬ、今後も長引きそうなコロナ禍をふまえて、インバウンドをあてにしたカジノを可能にするIRと羽田国際便増発は、不要不急のビジョンとして見直すべきと考えます。中野ネットは、引き続き、ウィズ・コロナの新しい日常生活とグローバル化社会の課題を検証し、持続可能な都市社会のあり方を模索しています。

新宿上空で撮影