どうなっている? 東京都内自治体の電力調達
自治体の再生可能エネルギーに対する意識は?
2011年3月の福島第一原発の事故以降、省エネと安全でクリーンな再生可能エネルギーの推進が求められました。また、2016年3月、電力小売全面自由化を契機に、全国に多数の新電力会社ができ、電力小売をめぐる状況が変化しています。そこで、東京・生活者ネットワークは、パワーシフト・キャンペーン運営委員会他とともにアンケート調査した「自治体の電力調達の状況に関する調査(2019年度)」に続き、2020年東京都内の自治体を対象として、パワーシフト・キャンペーン運営委員会(事務局:国際環境NGO FoE Japan)、国際環境NGO グリーンピース・ジャパンとの連携で、電力調達の状況やその方針を調査しました。調査は自治体の再生可能エネルギーの利用を喚起し、再生可能エネルギーの割合を増やすことを目指して、自治体の電力調達の状況や方針を確認することを目的としておこないました。
その結果、下記のような状況が明らかになりました。
・ 2019年度調査と同様に東京都内自治体でも、本庁舎の電力契約において入札などで東京電力が落札する事例が増えている。
以前からの継続も含め、4分の3近くが東京電力からの調達である。
・東京都内では、7割以上の自治体が電力調達に関する何らかの環境配慮の取り組みを行っている。
・清掃工場の廃棄物バイオマス発電の活用が各所でみられる。
・再エネ100%やCO2ゼロ電気の調達や、再エネ調達の方針策定も一部でみられる。
・他地域自治体との連携による再エネ調達も特徴としてみられる。
ぜひこちらから詳細ご覧ください。
▼報告書、各自治体の契約状況一覧表のダウンロードはこちら
東京都は2019年5月、2050年にCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」を実現することを宣言、同12月にはその実現に向けたビジョンと具体的な取り組み・ロードマップをまとめた「ゼロエミッション東京戦略」を策定しています。しかし、目標達成のハードルはかなり高く、東京都が実現に向けて都内自治体に今後どのような取り組みを行なっていくのかが問われています。
7月9日 東京都環境局地球環境エネルギー部と懇談
午後の調査結果報告記者会見に先立ち、午前中は、国際環境NGO FoE Japan、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、東京・生活者ネットワーク環境部会のメンバーらが、都環境局地球環境エネルギー部と懇談しました。命に係わる気候変動を食い止めるため、「ゼロエミッション東京」を掲げ、2019年度8月から第一庁舎の電力を再生可能エネルギー100%にしたり先進的な取り組みをしている東京都から、ぜひ発信をお願いしたいと提言しました。コスト面はある程度覚悟を持って行っていくとのことでした。
アンケート調査から見えてきた中野区の電力調達事情
中野・生活者ネットワークは中野区を担当しました。
本庁舎の電力調達状況
2013年度以前 東京電力
2014年度~2018年度 プレミアムグリーンパワー
2019年度・2020年度 出光グリーンパワー
その他の施設の電力調達状況
本庁舎他12施設 出光グリーンパワー
区立小中学校他48施設 東京エコサービス
もみじ山文化センター エネット
その他(件数不明) 東京電力
新電力の電力組成も気になるところですが、出光グリーンパワーは電力組成が再生可能エネルギー50%(2017年度)でした。
アンケート期間中、中野区は、回答が早かったこと、その内容が2020年度から電力調達を環境部が担うこととなり、情報を提供していく、とあったことで注目されました。しかし、再生可能エネルギーを活用した電力調達の数値目標がないなど残念な面もあります。今後も目を離さず、提言していきます。
中野区では、2008年5月に策定された第2次環境基本計画(2008~2017年)にも「脱温暖化の取り組みが根付いたエコシティなかの」と掲げ、4つのプロジェクトの1番目に「自然エネルギーの利用を進めます」とあります。
第3次環境基本計画(2016~2025年)では「CO2排出量の少ない再生可能エネルギーを活用した電力利用の推進」をアクションプログラムの一つとしています。
中野区は新市庁舎を建設する予定です。「中野区新庁舎整備基本設計」(2019年3月)によりますと、太陽光パネル設置など環境配慮の考え方を示しています。
詳細は、https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/158200/d022973_d/fil/201903_kihonsekkei.pdf からご覧になれます。
(環境部会 田辺雪子)