中野区立小中学校に、「香害」対策アンケートを実施しました

香料による健康被害 「香害(こうがい)」

最近、柔軟仕上げ剤や消臭除菌剤の香料による健康被害の訴えが相次ぎ、新たな化学物質過敏症として問題になっています。日本では現在、柔軟仕上げ剤や消臭除菌剤の成分について表示義務がなく、メーカーの自主表示に任されています。こうした商品は香料を徐々に放出して香りを長持ちさせるためにマイクロカプセルが使用されていますが、材料と言われているイソシアネートは非常に毒性が高く欧米では規制対象の物質です。また、カプセルの中に入る香料の原料は4000種類以上ありますが、何十もの成分の混合物であっても「香料」とだけ表示すればよいことになっています。
さらに、柔軟・除菌・消臭成分としてエステル型ジアルキルアンモニウム塩や第4級アンモニウム塩など陽イオン界面活性剤が使用されており、生物への影響が指摘されている物質もあります。

このような化学物質による影響については、成長期である子どもたちに対しては特に未然防止の視点からの配慮が必要です。マイクロカプセルは空中に飛散したり他人の衣類に移ることもあり、給食着や体操着の洗濯・着替えなどによる影響も含め長い時間を過ごす学校の中で、香りの害について現状を把握し対策をとることは大変重要であると考え、生活者ネットワークでは、 子どもたちが長時間過ごす学校での対策状況を知るために「学校保健における『香害』対策」についてのアンケート調査を実施しました。

日本消費者連盟作成の啓発ポスター。ホームページから自由にダウンロードできます

約半数の15校から回答が寄せられました

中野・生活者ネットワークは1月、区立小学校22校、中学校10校に対し、アンケート票郵送による調査を行い、15校(小学校7校、中学校7校、学校名が不明1校)から回答をいただきました。ご協力、ありがとうございました。

香害対策の必要を認識している学校も( 自由記述欄から)

寄せられた回答からは、対策が進んでいるとは言えない結果となりましたが、自由記述欄へのコメントでは、今後香害への対応が必要だと認識している学校が複数ありました。
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●今は特に本校では話題となっていませんが、近いうちに検討すべきことと認識しています。区全体の動向がわかれば教えていただきたいです。
●今後、相談等があった場合は、家庭への情報提供や配慮のお願いをする必要もあると考えている。
●現在、そのような意見や要望はないが、今後出てくる可能性は高いと思う。
●本校では「香害」と思われる状況になったことがなく、また、年度当初等に保護者へ確認している相談事項にも記入等されたことがないため回答ができません。たいへん申し訳ありません。
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①学校等で働く教員や職員など学校関係者、強い香りの着香製品の使用自粛を呼びかけていますか。

いる いない
小学校 2 5
中学校 0 6
学校名不明 1
2 12

 

 

②児童生徒等及び保護者や地域関係者に、強い香りの着香製品の自粛をポスターやホームぺージで、啓発していますか。

いる いない
小学校 2 5
中学校 0 6
学校名不明 1
2 12

呼びかけている場合 どのような内容を記載しているか教えてください。⇒教職員へは香害の情報を伝え、配慮を呼びかけている。

③教室内に香料臭が充満することのないよう、空気質に配慮し季節を問わず換気の励行を呼びかけていますか。

いる いない
小学校 3 4
中学校 3 3
学校名不明 1
7 7

換気の励行のみ/あくまで健康面での対応として/一般的な換気の励行は一年を通して呼びかけている/インフルエンザ対策で換気している/香害を目的とはしていないが、換気については常に呼びかけている/換気は香料と関係なく必要/制汗剤は無香料のみ可

④給食着の洗濯について、強い香りの着香製品の使用自粛を呼びかけていますか。

いる いない
小学校 0 7
中学校 1 5
学校名不明 1
1 13

 

⑤個人用の給食着を用意することを認めていますか。

いる いない
小学校 0 7
中学校 1 5
学校名不明 1
1 13

*認めている学校は1校だが、今のところ申し出はないとの回答

⑥学校で児童生徒や保護者等から香料による健康被害の相談や使用自粛の要望はありますか。

ある ない
小学校 0 7
中学校 1 5
学校名不明 1
1 13

ある場合、主な内容を教えてください。⇒柔軟剤の香料が強すぎて気持ちが悪くなった、自分で着ていてクレームをつけられた。

⑦学校や部活等における香害の問題について、保護者、児童、教職員へのアンケートや聞き取り調査を行っていますか。あるいは予定がありますか

ある ない
小学校 0 7
中学校 0 6
学校名不明 1
0 14

 

世田谷区の香害啓発チラシ

「香害」は香りの好き嫌いやマナー、ルール、生活指導や風紀上の問題ではなく、あくまでも香料やマイクロカプセルの成分による化学物質過敏症としての問題です。自治体のホームページやポスターの掲示、学年だよりなどで啓発を行う自治体は増えており、教育委員会が各学校に香害対策を求める通知を出す自治体もあります。一方で、香りつき商品のCMは盛んです。中野・生活者ネットワークは、化学物質の影響を受けやすい子どもたちへの香害対策が進むよう、中野区への要望を続けます。

東京・生活者ネットワークがまとめた香害対策アンケートの結果はこちらからご覧になれます。
https://www.seikatsusha.me/wp-content/uploads/2020/02/①アンケート報告書ホームページ公開用.pdf