高齢者が地域で生活していくためには、安心して暮らせる住まいの確保が欠かせません。ひとり暮らし高齢者が増え、自立して暮らしていても、見守りや普段のつき合いが大事になります。最近相次いでいる「孤立死」は、地域のコミュニケーションがないことがその大きな要因です。他者とのほどよい距離感を見つけるのは難しいものですが、集まって住まうという選択肢によってそれを探ることも可能です。住まいづくりをコミュニティづくりとつなげて考えるのです。近年、コレクティブハウスやグループリビング、シェアハウスなど、共有スペースのある共同住宅が注目されているのは、こうした背景によるものです。
一方、全国で問題になっている空き家が、都内でも増加していることから、その活用についても模索されています。東京都では2012年度、空き家をグループリビングなどに活用することを目的に、バリアフリー化などの改修費補助の制度を設けます。この事業は、国土交通省が実施する民間賃貸住宅活用の補助事業に都の補助を上乗せするもので、両方合わせると、最大で3分の2、200万円までの補助額となります。12年度はモデル事業として30戸を予定しています。
今後、要項などをつくり、募集を始めることになりますが、この事業をきっかけにして、空き家を活用した共同住宅づくり、コミュニティづくりが広がることが期待されます。それらが実現するためには、グループリビングの運営を担うNPO法人などと空き家とのマッチングが課題となります。地域の空き家や活動団体、高齢者のニーズなどの状況は、市区町村が把握している場合が多いことから、地域自治体との連携が重要です。
東京・生活者ネットワーク広報室