私たちは、安倍元首相の「国葬」に反対します!
私たちは、安倍元首相の「国葬」に反対します!
2022年8月5日
東京・生活者ネットワーク
先の参議院選挙終盤の7月8日、応援演説中の安倍晋三元首相が銃撃され、死亡しました。いかなる理由があろうとも、暴力により人命を奪うことは断じて許されません。
しかし、選挙直後に岸田首相が突然、安倍元首相の葬儀を「国葬」※ にすると発表し、議論のないまま9月27日に執り行う旨、閣議決定したことについては、強く抗議するとともに、東京・生活者ネットワークは「国葬」への反対を表明します。
政府は「国葬」にする理由として、「歴代最長の任期期間と、内政・外交での大きな実績」を挙げていますが、集団的自衛権行使に係る強引な憲法解釈変更や森友学園に係る公文書改ざん、桜を見る会の問題など、安倍政権の、民主主義の根幹を揺るがす政権運営に、多くの国民は、この十数年来、何度憤ってきたことでしょうか。そして、数々の疑惑は今なお未解明のままにあります。さらに、今回の銃撃事件の背景にある旧統一教会に関与した国会議員は、実に安倍派に集中しており、国会議員と宗教法人との依存関係、政治と宗教のあり方こそが問われなければならないと、生活者ネットワークは考えます。
安倍元首相の政治家としての評価は、歴史的経過のなかで主権者・市民が下すべきものであり、そもそも安倍氏退陣直前の支持率は、「支持する」34%、対して「支持しない」47%であった事実を厳格に受け止めるべきです(NHKによる世論調査)。重ねて、法的根拠がないままに現政権が独断的に全額国費で賄う「国葬」とし、疑惑を糊塗し実績を美化することは許されるものではありません。
共同通信による世論調査でも、国葬に「反対」「どちらかと言えば反対」の計53.3%が、「賛成」「どちらかと言えば賛成」の計45.1%を上回っています(7月30日付)。官邸前行動やオンライン署名など市民から反対の声も続々と上がるなか、予算を含め国会審議もないまま、当然のごとく「国葬」とすることで、憲法改正など安倍元首相の政治路線を引き継ぐことへの忖度が強まり、旧統一教会問題を含め未解明の問題を追及する勢力に影響することになれば、それはまさに民主主義の崩壊であり、主権者・市民への冒涜です。
また、「国葬」とすることで、「『弔問外交』で国際社会での影響力を高め、保守支持層を引き寄せたい」という岸田首相の思惑は、民意よりも政権維持を優先し、事件を政治的に利用するという発想であり、言語道断です。
よって、東京・生活者ネットワークは、安倍元首相の「国葬」に断固反対するものです。
以上
※戦前の国葬令は遡る1947年に失効した。1967年に吉田茂元首相の国葬を閣議決定で行ったが、1980年に死去した大平正芳元首相以降は、政府と自民党が共催する「内閣・自民党合同葬」が主流となっている。松野官房長官は会見で、国葬とするにあたっての明確な基準は何か、と問われるなかで、「選挙遊説中に銃撃を受けて亡くなった」ことを挙げた。が、任務遂行中に亡くなったことが基準であれば、大平氏は現役時の選挙期間中に容体が悪化し亡くなっている。現職の死亡の方が重いと考えるのが順当であり、依然、法的根拠はむろん国葬とすべき明確な基準は見あたらない。