今こそジェンダー平等、ジェンダー主流化を進めよう
3月8日は「国際女性デー」
今から117年前の1904年にアメリカで婦人参政権を求めたデモが起源となり、1975年3月8日、国連によってこの日を「国際女性デー」と定められました。今日3月8日は、「国際女性デー」を記念して「ウィメンズマーチ東京2021」や、性暴力の根絶をめざす「フラワーデモ」などが各地で開催されます。
20世紀初頭に女性たちが選挙権を求めたデモから100年以上経った今もなお、ジェンダー平等な社会の実現は21世紀に引き継がれた大きな課題のままです。「国際女性デー」の日にあらためて、「ジェンダー平等」について考えてみたいと思います。
「無意識の偏見」—アンコンシャス・バイアス
2月は東京五輪・パラリンピック組織委員会での森前会長の「女性差別」発言は大きな波紋が広がりました。前会長は陳謝したものの高まる抗議に辞任に追い込まれ、その後任にはオリンピックメダリストで自民党選出参議院議員の橋本聖子氏が就任しました。前会長の発言は、ジェンダー平等を進める時代の要請に逆行するものです。けれども「なぜ抗議されたのか、どこがいけなかったのか」と納得していない方も多く存在するのではないでしょうか。
このような捉え方を「アンコンシャス・バイアス(自分では自覚できない無意識の偏見)」というそうです。前会長の発言を機に、様ざまな分野で組織の構成(男女比)を是正する動きが加速しています。しかし、是正の理由が「(よくわからないが)ジェンダー平等を求められているから」という事であれば、真の変化は望めません。
あらゆる政策に「ジェンダー」の視点を
「ジェンダー」は言葉としては社会に浸透してきましたが、正しく理解されているかは定かではないようです。生活者ネットワークは、あらゆる政策にジェンダーの視点を取り入れる「ジェンダー主流化」に長年取り組んでいます。今回の事態から、今後は女性差別的発言の背景に根強く残る「無意識の偏見」を取り除くことも私たちの役割として受け止めています。
一方、新会長を選出する委員会は招集方法、委員の構成、会議の進め方が閉鎖的で透明性を欠いていたとの意見も多くききました。考えてみれば、東京五輪・パラリンピックは開催決定過程、新国立競技場提案コンペ、エンブレムの選定など、そしてコロナ感染拡大による開催延期と不透明な決定手続きが目立ちました。緊急事態宣言を延長する一方で、開催の是非を国民に問う機会もないまま、聖火リレーを3月下旬から始める予定を発表しています。
五輪・パラリンピック組織委員会の運営に限らず、わたしたちの回りには市民生活に大きな影響を及ぼすにもかかわらず民意を十分に反映したとはいえない法制度と政策があります。民主的手続きはどうあるべきか、市民参加はなぜ必要かという古くから問われてきた命題にジェンダー平等を加えて民主主義、市民自治を問い直す必要があります。
*(アンコンシャス・バイアス(自分では自覚できない無意識の偏見)」については日経新聞2021年3月2日夕刊法政大学総長田中優子氏の「あすへの話題」を参照)