「雨水は、浸透と循環、貯留を」〜都市で実現できるグリーンインフラ 講座編〜

■3回連続講座の第二弾
フィールドワーク編、講座編、ワークショップ編


2月8日(土曜日)、NPO法人中野・環境市民の会主催、中野・生活者ネットワーク協賛による中野区政策助成事業「環境講演会 都市でできるグリーンインフラ 講座編」を開催しました。講師は、渡辺剛弘さん(上智大学グローバルスタディーズ研究科准教授)です。
今回は、3回連続環境講演会の第二弾の講座編ということで、第1回目のフィールドワークとの連続性を考慮して講演会に先立つ1月8日、環境市民の会副理事長の須藤さんと中野ネットの加藤で渡辺さんに江古田川周辺を案内しています。

■安倍首相が海外に売り込むものとは、目指すものが違う

講演会は初めに、環境市民の会理事長の伊藤さんの挨拶に始まり、第1回の講師を努めた加藤と、環境市民の会の須藤さんから前回(2019年11月9日)の江古田川周辺のフィールドワークの振り返りを行ったのち、渡辺さんのお話しを伺いました。

渡辺さんは、米国ニューヨーク育ちで大学の文化人類学の先生です。ほかに善福寺川を里川にカエル会、神田川上流懇談会、杉並区の環境連絡会、杉並区立第二小学校のPTAと様ざまな活動に熱心に関わっています。

お話はまず、安倍首相が海外にわが国のグリーンインフラ・テクノロジー(例えば、海水から真水をつくる装置)を売り込む映像を見ながら、私たちの目指しているグリーンインフラとは異なることを明らかにしました。

次に生活と活動の拠点である善福寺川の水質汚濁が映し出されました。(桜満開の善福寺川の川面に最近人気の「うんち」が浮いているスライドは思わず笑ってしまいました。)合流式下水道の課題を示したのち、水質汚染とはどういう状況なのかを世界各地の発展途上国の水循環と河川の情報を使ってわかりやすく示されました。

■Clean Water Act(水質浄化法)に基づく米国の河川再生

海外の河川再生の事例ではロンドンの汚染がすすみ人びとが忘れかけていた運河を再生してオリンピック記念公園にした事例と、1970年代に始まったニューヨーク市ブロンクス川の再生プロジュエクトが印象的でした。特に興味深かったのは、渡辺さんとなじみが深いブロンクス川流域の上流(ニューヨーク市北部の高級住宅地のある郊外)と下流(荒廃した工場や倉庫街)が格差社会を象徴する河川であること、再生プロジェクトは官民協力のもと知恵をしぼり、汗を流せばどぶ川でも清流を取り戻り子どもたちが遊べる水辺にしたことでした。
うらやましく思ったのは米国の河川再生がClean Water Act(水質浄化法)という法律に基づいていることです。日本にはClean Water Actに準じる法律がなく、東京では合流式下水道の「根絶」ではない「改善」は行われるものの、「下水が流れ込む河川がクリーンではない」という意識があまり定着していません。

後半は善福寺川上流域で進められている川づくりの紹介と、渡辺さんがご自宅でお子さんたちと行なった雨水貯留プロジェクトを見せていただきました。雨水は、浸透と循環、貯留に心がけていきたいものです。(加藤)

■第3回のお知らせ(延期になりました)。

第3回目の「環境講演会 都市でできるグリーンインフラ ワークショップ編」は
3月14日(土)14時~16時 中野区桃園地域区民活動センター2階第2、3会議室です。
兵庫から、自然再生の合意形成の専門家高田友紀さんのワークショップです。

ワークショップ編は、コロナウイルス拡散防止のため延期になりました。

決まり次第お知らせいたします。