急激な景気悪化で仕事や住まいを失うなど、多くの人々の生活に影響が出ていることに対し、国は定額給付金をばら撒き、補正予算を組み、さらに東京都も緊急雇用対策や中小企業支援策を次々に打ち出しましたが、旧来型の公共事業前倒しの域を出ず、その効果については疑問を呈せざるを得ません。短期間のアルバイト的な仕事ではなく、今後の生活支援につながるものとなるよう、生活者ネットワークは本会議や予算特別委員会を通じて、意見を述べてきました。
また、子育て世代の家計は厳しさを増し、子どもを預けて働きたいと思う人が急激に増加しているにもかかわらず、保育園はその需要にまったく追いついていません。妊婦の死亡事件を受けて周産期医療体制は緊急に整備に取り掛かっていますが、安心して子どもを産み育てるためには、その先の保育サービスの充実が欠かせません。さらに、親の失業などで、就学の継続が困難になる子どもたちが増えることが想定されることから、奨学金制度など、学齢期の子どもの自立を支援する制度の拡充が必要不可欠です。
一方、群馬県の高齢者施設の火災では、7人の都からの入居者が亡くなり、他県に頼る高齢者のセーフティネットの危うさが浮き彫りになりました。急速に進む東京の高齢化は2025年までの20年間で100万人以上増え、なかでも単身高齢者が急増するといわれてます。生活者ネットワークは2000年の介護保険制度導入以前から一貫して、「子育て・介護は社会の仕事」と訴えてきましたが、後期高齢者医療制度導入や介護保険制度の改定などで、高齢者の地域生活の基盤も危うくなっています。
今、もっとも緊急な課題は、子どもから高齢者まですべての人々のセーフティネットを確立することです。生活者の目線で、セーフティネットの確立に向けて、最大限の力を発揮したいと思います。
東京・生活者ネットワークの都議会報告
今こそ、セーフティネットの確立を
東京都の2009年度予算が成立しました。税収回復の見通しが立たない中、満遍なく財源を振り向けてはいますが、新銀行東京、築地市場の移転問題、オリンピック招致など大きな課題を抱えながらの今後の都政運営は、予断を許しません。