バリアフリーな社会へ「サイトワールド2024」見学と「触地図を作る会」参加
視覚障がい者向け総合イベント「サイトワールド」をご存じでしょうか。日常サポートから最先端テクノロ ジーまで視覚障がい者を支えるさまざまな団体・企業が一堂に会する年一回のイベントです。「第16回 サイトワールド2024」が11月1~3日とすみだ産業会館8階サンライズホールで開催されました。中野・生活者ネットワークのメンバー三人(区議細野かよこ、会員の松田茜、加藤まさみ)は11 月2日に会場を訪ねました。主な目的は、新潟大学工学部教授の渡辺哲也研究室の公開講座「触地図をつくる会」への参加でした。けれども「サイトワールド2024」も興味深いイベントでしたので以下に併せて報告します。
「サイトワールド2024」見学
当日朝10時、JR総武線錦糸町駅には「サイトワールド2024」に向かう白杖や盲導犬を携える人が 多く降り立ちました。改札口にはガイドボランティアが待機しており会場のあるすみだ産業会館入口まで案内 していました。 8階の会場入口で参加証と参加団体を紹介するガイドブックと点字付き会場案内をもらいました。サイトワー ルド実行委員会によると、サイトワールドは今年で16回目、日常サポートから最先端テクノロジーまでさ まざまな方法で視覚障がい者を支える42の団体、企業が出展して歩行誘導、読む・書く・情報・サービス へのアクセス、ユニバーサルデザインの日常生活用品、電子機器を紹介します。会場内は42の展 示ブースが並び、出展者と大勢の来場者(視覚障がい者と晴眼者が混在)で活気にあふれていました。
(写真1 サイトワールド会場の様子)
視覚障がいのある松田は盲導犬と会場内を巡り階段の昇り降りを体験しました。一方、細野と加藤は 「Asirase アシラセ」(歩行ナビゲーションデバイス)という振動を利用して歩行を支援する装置を体験しまし た。「アシラセ」はスマートフォンのアプリに行先を入力しておくと靴の両側面に組み込んだ装置が「止まる・ 進む、距離感、進行方向」などを振動によって知らせます。手や耳の邪魔にならないという利点があるそうです。実際に装着して仕組みがわかり良い経験になりました。
(写真3 上 靴に「アシラセ」を装備)
ほかにも、家電メーカーの調理レシピの音声ガイド付き炊飯器の 便利な機能の説明をきいたり、試食のおにぎりをお味見したりしました。
サイトワールドについて詳しくはホームページ(sight-world.com)をご参照ください。
「触地図をつくる会」に参加して
今回のサイトワールド見学の主目的は新潟大学工学部渡辺研究室の「触地図をつくる会 」(正確には「触地図を作ってもらう会&触地図作りを体験する会」)に参加することでした。触地図を知ったきっかけは、8月に開催した中野・生活者ネットワークのオープンオフィスデイに渡辺先生から「障がい者が道 を、街を、世界を知るための技術」というタイトルで「触地図」づくりについてご紹介いただいたからです(本ホ ームページ9月13日のトピックスにあります)。私たちは触地図の普及に少しでも協力したいと「つくる会」に参加しました。(11月10日中野ダイバーシティフェスタ2024で触地図の紹介を予定していました。)
触地図自動作成システムの紹介
渡辺研究室の会場は、触地図に関心を持つひとが大勢参加していました。
初めに渡辺先生からスライドで触地図の種類、触地図作成システムtmacsの概要(アプリ、プリンタ ー、用紙など)とtmacs支援システム(触地図の仕上げに使う材料)の紹介がありました。
次に、tmacs で実際の触地図を作りました。希望をとのことでしたので「中野駅北口中野区役所新庁舎周辺」地図をリクエストしました。触地図作りは、
① tmacsで希望の地図を作製して、カプセルペーパ(立体コピー用紙)に一般のPC 用カラープリンタでプリントアウトします。(写真4 tmacsで中野区役所周辺の触地図を作る渡辺先生)
② カプセルペーパ発泡機(ヒーター)を通してプリントしたインク 部分を浮き上がらせます。(発泡機は展示図書館や盲学校にあるのを頼んで使わせてもらいます。)(写真5 カプセルペーパ発泡機)
③ 触地図は必要に応じて幹線道路、ランドマークをデコシール(点記号)、フリーテープ(線記号)、フエルトシー ル(点記号、面記号)紫外線硬化樹脂(点記号、線記号)などの貼り付け素材を使って強調します。(写真6 貼り付け素材を使って中野駅周辺触地図を仕上げる)
会場ではその後、渡辺先生と研究室の皆さんが、参加者それぞれの質問や希望の触地図づくりの相談に応じ ていました。来場者の多さに、触地図への関心の高さがわかりました。
以上、「サイトワールド2024」と「触地図を作る会」の報告です。中野・生活者ネットワークでは、視覚障がいのある方の自宅周辺と最寄り交通機関周辺地図とハザードマップの触地図が身近に使えるようにしたいと考えています。まずは、より多くの方に「触地図」の存在を知っていただくように紹介していきたいです。
サイトワールドについて (松田茜)
サイトワールドのブースを回り、私もいろいろと勉強になりました。いろんな企業がアクセシビリティーにどれだけ取り組んでいるのかが実感できたのは、よかったです。
私が小さいころに比べたら、技術の発達と進歩がかなり進んでいるので、視覚障がいの方も昔よりは生活しやすくなっているのではないかと思っています。
ダイバーシティフェスタでの触地図紹介に向けての触地図づくりの学びについて
触地図の方法と作成は、私たち自身が初めて取り組んだことなので、単純にかつ簡単
に重要点を抑え、十日の当日に足を運んでくださった人たちにわかりやすく伝えられればよいのかと思っています。
当事者である私を含め、いろいろなことをできる限り伝えていき、住みよい社会づくりに少しでもかかわっていけたらよいですね!
ダイバーシティフェスタについては次の記事で紹介します