「介護が必要かな、とおもったら」
オープンオフィスデイ 「介護のお話を聞く」第2回
白岩裕子さん(社会福祉法人武蔵野療園しらさぎ桜苑地域連携室室長)
細野かよこ区政報告会(4月13日(土) 13:30~16:00)野方区民活動センター ギャラリー)の第2部オープンオフィスデイ (14:30~16:00)では「介護のお話を聞く」シリーズ第2回として介護の専門家白岩さんに講演していただきました。今回のテーマは、多くのひとが躊躇しがちな、介護が必要となった時の初めの一歩の踏み出し方です。
白岩さんは、日本の介護と介護保険とともに歩んできた方です。初めて「介護」に携わった1989年当時は、まだ寝たきり老人が布のおむつを使用していたころで床擦れが深刻な時代でした。1992年に富士見台ケアセンター勤務、介護保険制度が始まる2000年には複雑な業務内容とパソコン操作を一から学び、かみさぎ介護サービスセンター所属のケアマネージャーになりました。現在、社会福祉法人武蔵野療園、しらさぎ桜苑地域連携室室長として公的・私的機関を超えて様々な介護サービスのネットワークを整備して多種多様なニーズをもつ利用者を支援しています。(社会福祉法人武蔵野療園の前身は結核療養施設です。現在は区内に7つの老人施設を運営しています。その一つ、複合型施設しらさぎ桜苑は小規模多機能型居宅介護、通所介護(デイサービス)、訪問介護、都市型軽費老人ホームを持つ施設です。地域連携室は2013年に地域連携を専門にするために作られました。)
「介護について」 その1(基本のき)・・・まずは地域包括支援センターに相談を!
~介護保険・介護サービス利用までのながれ~
介護保険を利用する時は、最寄りの地域包括支援センター(区内8箇所)で社会福祉士などに相談できます。介護申請から介護サービス開始までの流れは次の通りです。
- 介護保険の申請をします:地域包括支援センターにご相談ください。郵送、区役所でも申請可能です。
- 介護認定調査を受けます:要介護度の判定は、区から派遣された調査員が、名前、生年月日 年齢を聞き、心身の状態 介護の手間について40分ほど調査を行い、国が定めたコンピューター入力により一次判定を行います。次に区が定めた専門家による審査会で一次判定結果の調査票と主治医の意見書と併せて二次判定を行い、判定結果を郵送で通知します。
- ケアプランを立ててくれるケアマネージャーを探します:ケアマネージャーと立てたケアプランをもとに介護事業所との担当者会議を開き、介護サービス開始前に内容を確認します。
- サービス利用が始まります:ケアマネージャーと相談し、デイケアサービス、訪問介護など月間のケアプランに基づきサービスを利用します。
*詳しくは中野区発行令和6年版「みんなでささえる介護保険」を参考にしてください。
~それでも踏み出しにくい最初の一歩のために~
実際に生活に支障があっても、「私は大丈夫」「介護は必要ない」と、第一歩を踏み出す決心がつかない場合が多いようです。そこで必要なのがアウトリーチ(必要な人に必要な情報やサービスを届ける)の努力です。
白岩さんがかかわる鷺宮エリア介護ネットワークは、アウトリーチのために啓発ビデオを自主制作しています。その一つ、動画「介護保険の利用~初めての相談(事例1)」を見せていただきました。内容はケアサービスを受けたくない両親(引きこもりがちな母と老老介護で腰痛をもつ父)をもつ娘が地域の人や介護ネットワークの協力を得て利用を促し、介護サービスを受けて明るく過ごすようになるまでを描いています。啓発ビデオの出演者はケアマネージャーの方たちとのこと、ストーリーには日々の経験が反映されているようです。ケアマネージャーの皆さんのほほえましくかつ頼もしい後押しが、「介護が必要かな」と思う人たちの躊躇を取り除いてくれることでしょう。自主制作啓発ビデオは様々な内容があります。(DVDの貸し出しはしていませんが、ご興味のある方は白岩さんとご相談ください。しらさぎ桜苑:03-5356-5447)
~白岩さんからのアドバイス~
〇今後は特に予防への取り組みが重視されます。寝たきりにならないように、予防介護に努めましょう。
〇健康寿命を延ばすには、野菜やフルーツ他栄養をバランスよく摂り、有酸素運動もよいそうです。
〇認知症を疑っていたら別の病気が見つかる例もあります。区民検診で主治医の先生に相談しましょう。
〇介護の相談は、当事者のプライドを傷つけないように気を付けましょう。
〇ぜひ早めのご相談を。早ければ早い方が予防につながります。
「介護が必要かなと思ったら」まず地域包括支援センターに相談しましょう。特に、お急ぎの場合やケアマネージャーをどうやって探したらよいのかわからない時にも地域包括支援センターに相談しましょう。
〇介護保険は、介護が必要になときにとても助かる仕組みですが、介護だけでは生活全般まで支えるのは難しいです。ぜひ専門家(地域包括支援センターやケアマネジャー)と相談しながら社会資源なども含めて活用を検討しましょう。
〇地域特性もあると思います、私たちの街で「もっとこんなものがあれば」「こんな支えがあれば」など声にあげて、住みやすい街づくりを考えたいですね。
介護保険は3年に一度変わります(詳細は、中野区発行の「令和6年版みんなでささえる介護保険」を参考に。 区役所高齢者総合窓口、各地域包括支援センター、各区民活動センター、健やか福祉センターで配布しています)。
中野区 あなたの地域包括支援センター(担当区域一覧) | 中野区 (tokyo-nakano.lg.jp)
介護保険パンフレット「みんなでささえる介護保険」 | 中野区 (tokyo-nakano.lg.jp)