~まちの雨のゆくえ、雨とのつきあい方かた~ 都市を豊かにするグリーンインフラ
1月30日にNPO法人中野・環境市民の会主催、中野・生活者ネットワークも協力団体として参加している講座「都市を豊かにするグリーンインフラ」を開催しました。講師は、NPO法人雨水市民の会理事で国の水循環施策にも携わる笹川みちるさんです。私、田辺雪子は総合司会を務めました。以下笹川さんのお話をまとめました。
「あまみず」と「うすい」
まず、雨水を「あまみず」と呼ぶのは、雨水を貴重な資源として活用する時、「うすい」と呼ぶのは、ただ流すだけの時といいます。
「あまみず」が「うすい」と呼ばれるようになったのは、1960年代急速に都市化が進み、生活排水の処理が必要になり、下水道の整備が進められたころからです。地面はコンクリートで覆われ雨がしみこまなくなり、川の氾濫が頻発した。川はどんどん深くなり、三面をコンクリートで覆い速く流すようになりました。
「あまみず」の循環を妨げる都市
下水道は生活排水と雨水を一緒に流す合流式のほうが整備しやすいことから23区のほとんどが合流式になりました。そのために大雨が降ると下水処理場の能力を超えて処理できない生活排水も川に直接流れこみます。また、下水管もオーバーフローしてまちなかのマンホールから噴き出し、都市型洪水が頻発するようになりました。
本来なら、生活排水と雨水は別の管で流せば(分流式)都市型洪水はなくなり、川もきれいになります。しかし、地面をコンクリートで蔽ったことで雨水が地表を流れるだけで地下に浸透しないため、地下水が枯れて水不足となり、ダムをつくり、遠くの川からわざわざ水を運んでこなければならなくなりました。
気候変動に対応した「あまみず」との付き合い方
気候変動で大雨が頻発、また温暖化・都市のヒートアイランド現象の解消、雨水の活用などを考える時です。既に世界でも日本でも進めている事例の紹介がありました。
開発時に雨水を浸透させる、緑を増やす、雨の時にいっとき貯める貯留施設を作る、家では植木の水やりや打ち水などに使う、ビルではトイレの流す水として活用するなどいろんな方法がありました。一例の墨田区の路地尊は地域の防災・コミュニティづくりに役立っています。
中野区は開発の進んだ住宅密集地、緑比率が23区中17番目です。台地があるので、雨水を浸透させる方法を利用して、地域にあったグランドデザインを考えると良いのではないかとのことでした。
イベントに参加された酒井区長からは「大変面白くワクワクする話でした。」との感想が寄せられました。
私は、今回、笹川さんのお話をお聞きして、「あまみず」と「うすい」の違いが腑に落ちました。中野区でも見た目にも心地よい緑を増やして自然の力で「あまみず」を受け止める都市環境の修復、雨水(あまみず)貯留タンクの普及、雨水の中水(トイレや清掃時の水,散水)活用を推奨するなど、「あまみず」の好循環を進めて欲しいと思いました。
田辺雪子