ウィズコロナの新しい日常生活に環境保全の視点を 不織布マスクの取り扱い注意!
WHO(世界保健機構)が2020年3月11日にコロナウイルス感染症を地球規模のパンデミックと宣言して1年になります。当初暗中模索であった感染予防対策は少しずつ守るべき有効な手段が見えてきました。身近なところでは、会食回避、ソーシャルディスタンス、咳エチケット、丁寧な手洗い、マスクの着用が新しい日常生活のなかで定着しています。特にマスクは、装着していないと目立つという外圧もあり、感染拡大を防ぐと手段して広く受け入れられています。
スーパーコンピューター「富岳」を用いたマスクの素材別飛沫拡散防止効果のシミュレーションでは以下の結果が出たそうです。
医療用マスク100%
不織布とウレタンマスクの二重マスク 89%
不織布(隙間なし)85%、鼻宛て金具付 81%、不織布 69%
布マスク 20%~60%
ポリウレタン 20%~60%
医療用マスクに次いで効果が高いのは不織布マスク(装着方法により異なりますが)でした。
効果的で便利、比較的安価な不織布素材などの「使い捨てマスク」の世界市場は2019年の850億円から2020年の17兆6千億円へ拡大する見通しだそうです。
大量に出回った「使い捨てマスク」の投棄が世界中で環境問題を引き起こしています。
排水口をふさぎ雨水が排水されない、トイレに流して下水管を塞ぐ、下水処理装置を詰まらすケースも報告されています。気候危機の影響で近年頻繁に起こるゲリラ豪雨と下水管に詰まった使い捨てマスクでこれまでより深刻な水害が発生する可能性もあります。
海洋保護団体の試算では15億8000万枚(世界で年間製造されるマスクの3%)が海に流れ込んでいるそうです。野生動物の生息地ではマスクのゴムひもが動物に絡みつくなどの悪影響も出ています。
不織布など「使い捨てマスク」の問題は、石油由来のプラスティックを原料として大量生産が可能、安価でポイ捨てされやすく分解されずに自然環境に悪い影響を及ぼす「レジ袋」やペットボトルと同類であることがわかります。現在、世界中がコロナパンデミックにあって不織布マスクの他にも医療用ビニールシートから、店舗やレストランのアクリル板、テイクアウトのお弁当容器など石油由来のプラスティック製品を大量消費しています。コロナ禍を乗り越えるためにはプラスティック多用もやむを得ないとは言い切れません。人類が今コロナを生き延びたとしても環境汚染の原因になり生態系を劣化させるとすれば次世代が健やかに生きていけないかもしれません。
新しい日常生活には、
感染予防の徹底とこれまで以上に環境修復に繋がる取り組みの習得を心がけていきましょう。
不要不急の外出は控える。大人数の会食を控える。
ソーシャルディスタンスが取れそうな外出では布製マスクを使用する。
公共交通機関など混雑する場所では不織布マスクをかける。
不織布マスクを「使い捨て」と呼ばない。
不織布マスクは毛羽立たないように押し洗いし、数回は洗って使う。
使い終わったら責任をもって廃棄(燃えるゴミ)する。
テイクアウト購入の際にはマイバッグを持参する。箸、スプーン、フォークを断る。食後は油分の多い容器は「燃やすゴミ」へ、汚れの少ない容器は軽くすすいで「容器包装リサイクル」にだす。
ウィズコロナの新しい日常生活に環境保全の視点を忘れずに5R(リフユーズ:断る、リデュース:減らす、リサイクル:循環する、リユース:再利用、レスポンシビリティ:責任)の実践を!
参照:日経新聞2021年2月28日朝刊「マスク投棄、世界急増」、
同3月12日朝刊「世界一のスパコン、効果検証 不織布マスク飛沫防ぐ」)
5Rについては本ホームページ、2020年10月8日「プラスティック廃棄物の削減――私たちにできること・すべきこと」、2020年9月24日「レジ袋有料化とプラスティック問題」で取り上げています。