「遊び」を政策の中心に〜東京都「こども未来会議」を傍聴して

議論の内容を今後の政策に反映

東京都は「子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会」の実現に向けて昨年9月、従来の枠組みにとらわれない幅広い視点で議論を行うため、有識者・著名人等からなる「こども未来会議」を設置しました。

座長は秋田喜代美さん(東京大学大学院教育学研究科長・教育学部長)、委員は、新井紀子さん(国立情報学研究所教授・社会共有知県境センター長)、安藤哲也さん(NPO法人ファーザーリング・ジャパン代表理事)、大谷美紀子さん(国連子どもの権利委員会会員、弁護士)、小林よしひささん(タレント・元体操のお兄さん)。委員のジェンダーバランス、いいですね。

こども未来会議の資料、会議の動画などは↓で見られます。
こども未来会議|都の基本計画|東京都政策企画局 (tokyo.lg.jp)

第3回のテーマは「子どもを育む環境・まちづくり
〜子どもの目線に立った居場所・遊び場」

そして第3回会議が2月12日にZOOMで開催され、ユーチューブで配信されました。テーマは「子どもを育む環境・まちづくり〜子どもの目線に立った居場所・遊び場」。今回のプレゼンターは森田明美さん(東洋大学 社会学部 社会福祉学科教授)と松田恵示さん(東京学芸大学 理事・副学長)。

森田先生からは、「こどもの居場所—コロナ禍と東日本大震災復興支援活動から見えてきたこと」と題し発表がありました。コロナ禍でうつ状態の子どもが増えている。ゆっくり話を聞いて欲しかったという子が多い。オンラインを活用して、子どもの話を聞くことが大事。子どもにとっては社会参加の第一歩になる。

東日本大震災後に「山田町ゾンタハウス」などで子ども支援をしてきたが、支援される側だった子どもたちが成長して、今は支える側になっている。

松田先生からは、「遊びと、子育て・学びの楽しさに充たされる社会の創造のために」と題し、子どもには「遊び」の権利がある、「遊び」とはただ「面白い」こと、これまで行政には子どもの「学び」はあったが「遊び」はなかった、などの発表がありました。

委員からはそれぞれの活動の中から、「自転車で5分くらいの範囲に体を精一杯動かして遊べる場が必要」「子どもと一緒に遊べる父親、笑っている母親・父親が社会を変える」「子どものためにではなく、子どもとともに」「遊びは学び、学びは遊び」「遊べるまち東京をつくる」「子育ては仕事ではない」など素敵な言葉が飛び交いました。

東京都からは、「未来の東京」を考える授業として、小中学校での意見聴取や、子どもシンポジウムを開催して、中高性に意見発表をしてもらっているとの報告がありました。

それに対し委員から、都も努力されていると思うが、シンポジウムなどに参加する子どもは意見がきちんと話せるいわゆる「いい子」が集まりがち。学校にいけない子や、行っていても意見を言えない子どもにもオンラインなどで話を聞いて、それを反映させて欲しいなどの提案があり、有意義な意見交換でした。

中野区に子どもたちが自由に過ごせる身近な公園を

コロナ禍以来よく江古田の森公園を散歩します。散歩やランニングする老若男女、暖かいと木の下で読書をしたり、昼寝などしている人もいます。運動公園ではテニス・キャッチボール・スケートボード・サッカーなどなどに興ずる方々が多数います。

そして先日ポカポカ陽気の土曜日、森の中で可愛いテントを3つ見つけました。若い家族がテントの前に小さな机を出してくつろいでいました。パパもママも子どももみんな笑顔です。笑顔っていいですね。最近は土日などパパが子どもと遊んでいるのを見かけます。ほほえましいです。

でも、区内全域を見回すと、子どもたちが自由に体を精いっぱい動かせる身近な公園は不足しています。中野の子どもたちみんなが、公平に公園で遊べるようにしたいと思いました。(田辺)

ある日の江古田の森公園での風景

*山田町ゾンタハウス…東日本大震災の後、NPO法人こども福祉研究所が岩手県山田町に寄付で開設した子どもたちの自習室や市民の居場所。