コロナ禍の今こそ生活者ネットワークの声を届けたい 〜2020年の振り返り・2021年の展望〜

皆さま、2021年はコロナ禍の年明けとなりました。中野ネットは「今、私たちにできること」を考え実践してまいります。今年もよろしくお願いいたします。「おめでとうございます」の挨拶に代えて昨年を振り返り、今年の展望を述べさせていただきます。

未知の疫病コロナウイルスcovid19に翻弄された2020年

2020年は日本にとって2度目の東京オリンピックの年を迎え沸き立つような幕開けでした。
オリンピックのみならず、わが国の経済政策はカジノを含む総合娯楽施設解禁への期待、インバウンド(外国から)の観光需要を見込んだ開発、旅行客の増加にともなう羽田空港への国際便の増便と、海外からの観光客の消費による経済効果に期待感にあふれていました。インバウンドは言い換えれば、消費者が越境するグローバル化といえます。
ところが、前年12月、中国武漢で未知の疫病新型コロナウイルスcovid19(以下「コロナ」という)の感染が拡大し、1月中旬には豪華客船でコロナ発生というインバウンド経済への期待を覆す事態が発生しました。当初対岸の火事に見えたコロナ感染は、グローバル化時代の疫病となって広がりました。

グローバル化時代の未知の疫病とは

そもそもグローバル化とは政治、経済、文化などが国、地域の境界をこえて地球規模に広がっていく現象です。古くは物品の貿易、資本の国際化、近年は海外旅行・インバウンドと国境を超えた経済活動のメリットが強調されてきました。一方グローバル化は自然現象と人間活動の地球規模の相互関係を意味し、地球温暖化現象、気候変動は代表例です。そして大勢の人びとの往来によりもたらされたコロナはまさにグローバル化時代の疫病といえます。

未知の疫病とは人類がいまだかつて出合ったことのない、したがって既存の医療では治療方法が見つかっていない疫病です。防疫対策もわからず収束の見通しのない中で感染者が増加し、大勢が犠牲になりました。満足な看取りも葬儀もできないままの近しい方とのお別れは、疫病が人類の築いてきた文化さえも破壊することを思い知らされました。2020年、私たち人類は、コロナ蔓延を通して、一見便利で豊か、きらきらと楽しいことに溢れて見えるグローバル化時代の、脆弱な側面をはっきりと見たといえます。

迷走をつづける政府のコロナ対応

コロナ発生以来、政府は災疫への脆弱さを露呈させ迷走を続けています。3月の拙速な公立小中高校休業では子どもたちが行き場を失い、給食など学校運営に関連する事業者が苦境に立たされました。3月下旬には利用者が激減する中で羽田空港国際便増発(新ルート)の運用が開始となり、南風の日には私たちの頭上低空をジェット機が横切るようになりました。またオリンピックの開催延期の判断に時間がかかりました。そして国民へのマスク配布では不手際が発覚し「アベノマスク」と揶揄されました。

4月、5月緊急事態宣言により外出自粛要請があり、学校休業、リモートワークがはじまりました。また、感染予防のための新しい日常生活が提示されました。
9月には安倍前首相辞任に伴い安倍内閣を支えてきた菅前官房長官が首相に就任、コロナ禍で疲弊する観光地・商店街を活気づけようとGo Toキャンペーンを引き継ぎました。けれども経済効果と感染拡大の懸念とのジレンマで歯切れの悪い対応が続きました。年末年始には休止としたものの、大晦日には感染者数(国内8500人・東京都1300人を上回る)過去最高を記録し今日にいたっています。

政府の対応には「想定外の出来事なのでやむを得ない」という言い訳が透けて見えます。菅首相は、官房長官時代日経新聞(4月24日)のインタビューで「どこの国も予想していなかったでしょうね」と述べています。しかし、5月4日の日経新聞は台湾、ドイツ、ニュージーランドの女性リーダーたちはいち早く命を守る対策をとったことを伝えています。未知の疫病への対応にはそれぞれのリーダーの価値観が現れています。

コロナ禍が収束の見通しのない時期にあいまいなGo Toキャンペーンを行ったことは失策と言わざるを得ません。とはいえ経済活性化を第一義とする政権を選んだのは国民であることも事実であり、菅政権がGo To oキャンペーンに固執するのは当然の帰結とも言えます。
それにしてもキャンペーンに注いだ予算はもっと緊急性の高い使い方ができたのではないでしょうか。たとえば、逼迫する医療体制や保健所など検査体制の改善、エッセンシャルワーク従事者への支援、経済的精神的に困難に直面している人びとへの支援などです。

コロナ禍の今こそ生活者ネットワークの声を届けたい

2020年は世界中がコロナcovid19に席巻された年、あるいはコロナ時代の幕開けの年として歴史に残るでしょう。Covid19が収束する前から新たなコロナが既に発生しています。2021年も決して予断は許されません。それでも、この1年で私たちは、命、健康、環境が人類共通の最も大切な生活の根っこであることを学んできました。

現状の東京が過密で健康的な環境ではないことも明らかになりました。コロナで緊急事態宣言が出されていたころは、経済活動が減り、私たちは多くの犠牲を払いましたが、家にいる間にこれまでのライフスタイルを見直す人たちが増え、空や空気が一時的にきれいになったことは、変化の兆しを垣間見た様でした。

生活者ネットワークは、食の安全、環境保全、多様性を認め支え合う社会づくりを目指して様ざまな実践を通して提案し、生活を政治につなぐ活動をしてきました。2021年の中野ネットは、コロナ禍の今こそより多くの皆さんに生活者ネットワークの考えを聞いていただける活動をしていきます。