中野区上高田4丁目都営住宅は、約1ヘクタールのみどり豊かな敷地内に築30年以上の5階建て1棟と、木造平屋建ての2軒長屋が点在している地域のオアシスでした。
2001年1月の建て替え通知をきっかけに、ケヤキ、メタセコイヤ、クスノキを始め、春にはハナニラやハナダイコンが群生し、ウグイスやコウモリも棲んでいる森を守りたいと、地域の多様な人々と「桑の実会」を立ち上げました。独自の植生調査により約200種類の植物や、野鳥の宝庫だということが次第に明らかになり、保全の必要性を内外に訴えました。
もちろん都営住宅建設反対ではなく、この豊かなみどりをかたまりとして保全しつつ、まち並みに配慮した住宅建設を行政に要望。シンポジウムや芝浦工大の学生でつるまちづくりNPO「場助っ人」の協力を得てのワークショップを行なうなど5年間の粘り強い運動を経て、かなりの樹木が残りました。現在3棟目が建設中です。
一方、敷地内には3本の道が予定されていますが、都と区に交渉を続けた結果、1本を自動車道路に、あとの2本は歩行者専用の緑道に整備されることになりました。今後、公園予定地の整備にも参画していきます。