松田茜さんがMIKANでお話ししました

3月15日(金)生協連会館(中野区中央5丁目)で開催されたMIKANセミナーの基調講演で中野ネット会員の松田さんが「視覚障碍者である私から」というタイトルでお話ししました。MIKANとは、「中野みんなで考えるネットワーク」の通称です。区内のオレンジカフェ(認知症の方やその家族、専門職や地域の人々が交流する身近な場所)や介護予防活動を行っている団体、町会のほか、デイサービス、居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、グループホーム、介護老人福祉施設、地域包括支援センター等の事業所などが連携するネットワーク組織です。

以下は松田さんのお話の内容です。

 

「視覚障碍者である私から」

講演中の松田茜さん

 

 ※ 一言でまとめると、

障がい者は、急なことに対処しにくい。

だからこそ、普段から徹底した準備をしておく。

準備だけでは間に合わない時には、周囲の人に手助けを求める。

 

視覚障がい者である私が困っていること

 

日常生活

■ 緊急なときに福祉サービスを受けられないこと。

たとえば、急に子供が体調を崩して自分が行ったことがない病院へ行かなくてはいけないとき、↓

急にはヘルパーなどの福祉サービスを受けられないこと。

急にジョギングをしたいと思っても ↓

ガイドヘルパーの手配が困難で思いつきにやるのは難しい。

理想では、請願者の人と普段からかかわり、いざというときに手を貸してもらえるようにすることでしょう。

といっても、相手にも都合があるので、必ずしもそうしてもらえるわけではない。

■ 写真撮影・ビデオ録画困難

たとえば、子供が通う保育園や学校行事の際、↓

写真撮影やビデオ録画が自力でできない。

あらかじめ行事のスケジュールは決められているため、ヘルパーを手配し、撮影や録画もしてもらっている。

しかし、本音は、子供たちのダンスや走る姿を心置きなく撮影や録画したい。

■ 薬の種類を見分けること。

塗り薬も飲み薬も種類はたくさんあるが、↓

パッケージが同じ形だったり、似た形だったりする。

誤って使用しないために、調剤薬局で種類ごとに分けて袋詰めしてもらう。

種類ごとに分けた袋には印をつけたり、折り目を付けてすぐにわかるようにする。

■ 一通りの家事や育児は手を借りずにできるが、↓

すぐに、色を見分けること、服などの汚れた箇所を確かめることができない。

たとえば、急にボタン付けをしたいとき、↓

裁縫箱の意図が何色かボタンや衣服の色が何色かがわからないとすぐにできない。

また、しみなど汚れたところを洗濯したいとき、↓

どこが汚れているかを確かめられずすぐに洗えないなど。

 

外出時困ること

  •  道にいつもはないものがあること。

たとえば、お店の前に停車している自動車や自転車など ↓

とくにお店の入り口をふさぐようにして停車している自転車は困る。

狭い道にとめている車はもちろんのこと、その隙間を通って過ぎようとするときに別の車が走ってきて道がふさがれそうになる時はちょっと戸惑ってしまうこともある。

  •  線路の踏切 ↓

道路に対してまっすぐだったり、直角であれば踏切を渡りやすい。

しかし、私が住む地域には、すごい角度の線路があったり、その幅が狭くて、自転車や自動車と並行して渡るのがいやだなあと思うものが多い。

  •  五差路などの複雑な横断歩道を渡る ↓

これは誰かに声をかけて手を借りて渡るのがいいでしょう。

とくに、渋谷駅のスクランブル交差点は自力では無理。

外出時のサポートとして、

・ ガイドヘルパと一緒にあるく

・ ナビアプリや自分のシューズに取り付けるナビデバイスの活用

・ 専門の機関に申し込んで、歩行訓練を受ける

・ 周囲の人に助けを求める

・ 白杖歩行から盲導犬歩行に切り替えるなど

 

(補足)

■ 一通りの家事や育児が自力でできるからこその誤解。

初めて申し込んだ際の区からのホームヘルパーの支給時間が短かった。

私が以前ホームヘルパーの申し込みをした際、

区から「あなたは月に15時間のヘルパーの支給です」と言われたことがある。

「1回のホームヘルパーは1.5時間と決められていて、15時間なら、月に10回しかないため、もう少し支給時間がほしい。たしかに、家事や育児はできる。けど、色を見分けたり、汚れた個所を確認したり、保育園などからの書類を読んだり書いたりができない。だから、申し込んでいるのです。」

と反論。

なんとか、月40時間を支給してもらえることになった。

 

  •  ナビアプリ、自分のシューズに取り付けるナビデバイス:

最近では、スマートフォンにダウンロードして使用できるナビアプリや靴に取り付けて使用するデバイスが開発されている。

それらは、目的地情報や道の曲がり箇所などをユーザーに知らせる。

そのため自立歩行はかなり快適になってきている。

といえども、まったく一人で行うのは不可能なので、誰かに手を借りる勇気は必要だと思う。

 

 

上記の内容について以下の質問があった。

1. 居宅介護の中に、育児支援の時間は含まれていますか?

私からの回答:はい、育児支援および配偶者の障害区分(夫も視覚障がい者)を含めた時間を合わせて、月に40時間が支給されています。

2.外出時困っているように見えたとき、

周りの私たちは、声掛けをしたほうがよいのか、それともしないほうがよいのか、教えてください。

私からの回答:はい、おっしゃる通り、周囲の人はどのように声掛けをしてよいか迷うかもしれませんね!

ケースバイケースと思っていただけたらよいかと思います。

まずは「なにかお手伝い必要ですか?」と声をかける。

もし相手がイエスと答えたら、自分の肘または肩を貸して、エスコートしてもらえると助かります。

声をかけて断られてしまって、それ以降声掛けを躊躇していますという方もいるかと思いますが、気になった際には、声掛けお願いします。声をかけていただいた当事者は、お断りの言葉を選び、相手に不快感を与えないようにすることも大切ですね!

声掛けの際、ぜったいにしないでほしいのは

危ないと思って白杖を持つこと、

相手のカバンの紐を持つこと、

背中を押しながら誘導をすること。

 

当日MIKANの会に参加して改めて感じたのは、

(1) それぞれ抱える障害によって困っていることがまったく違うんだということ。

(2) 当事者が声を出して伝えていかないと、社会での認識が高くなっていかないんだということ。

(3) 急に困った場合には、中野ボランティアセンターに相談すればよいこと。

中野ボランティアセンターを何年も利用していながらいままで知らなかった ↓

私の知識不足につながった。