「青少年健全育成条例」は改正されました

生活者ネットワークは反対しました!

 昨年12月都議会第4回定例会が終わりましたが、この1年は築地市場移転問題と、「青少年健全育成条例の改正」が議会の争点となりました。
なかでも第1回定例会(1定)で継続審議となり、続く2定で否決された青少年健全育成条例改正案は、修正の上、4定に再提案されましたが、出版業界との協議も不十分なまま、青少年の意見を聞くこともせず、開会のわずか8日前に条例文を公表するという東京都の姿勢は、非常に問題です。子どもの権利条約第12条の意見表明権、第13条の表現の自由は無視され、条例の対象である青少年の存在が大切にされたとはいえません。
子どもをめぐる性の暴力、児童ポルノに見られる性の商品化など子どもへの人権侵害は絶対に許されるものではありません。また、過激な漫画を子どもたちの目に触れさせたくないという保護者の思いにも、まったく共感するものですが、そのためのルールづくりと運用を、一方的に行政の手にゆだねることには問題があると考えます。様々なツールを駆使する情報社会において、いかがわしいもの、悪しきものから完全に子どもを遠ざけることは不可能であり、今、子どもたちに真に必要なことは、悪質で俗悪な映像や出版物などを目にしても、きちんと批判できるように、保護者、地域、学校が力を合わせ、性教育などに取り組み、子どもの成長の後押しをすることです。
 そもそも、女性を蔑視する発言を繰り返したり、セクシャルマイノリティを否定するような態度をとる政治家や社会的地位のある男性、それを大目に見ている大人たちがつくり上げている社会の在り方そのものが問題なのです。
 1964年に制定されて以来すでに46年を経過し、つぎはぎだらけで時代の要請に応えなくなった条例を改正することが、青少年の最善の利益を保障することになるとはとても考えられず、都議会生活者ネットワーク・みらいは反対の立場を貫きました。
この1年、漫画を愛好する多くの青少年をはじめ、表現規制を危惧する人々などが、全国からあらゆる情報媒体を使って反対の声をあげ、最終本会議では、初めて都議会を訪れた若者などで一般傍聴席があふれました。この問題を通し、若い世代が政治と自分たちとのつながりを認識してくれたことは大きな一歩です。
今後、生活者ネットワークは、青少年健全育成条例を撤廃し、子どもを権利の主体ととらえ、子どもの命と健康、尊厳を守る視点を大切にした「東京都子どもの権利条例」の制定をめざします。