昨年の東日本大震災以来、地震への対応、備えに対する関心が高まっています。東京都は現在、地域防災計画の見直しを行うべく、被害想定の見直しを行っています。立川断層については、東日本大震災の地殻変動の影響で地震の発生確率が高まっているとの国の発表を受け、都の想定地震にも追記されました。青梅市、立川市、国立市、府中市に至る活断層帯には、多摩地域の中核として発展してきた立川駅周辺があり、商工業、官公庁関連、都の防災センター、広域災害医療施設など、都市機能の拠点地域とも近いことから不安の声があがっています。都は今後、被害想定の内容を都民に客観的に示し、立川断層帯地震の危険性への理解と、自助の取り組みを促していくとしています。
立川断層帯地震は、発生すると局所的ではあるものの、大きな被害を与えるおそれがあります。情報を市民にきちんと伝えるとともに、都と市が連携して対策を立てる必要があります。
急がれる毒物・劇物、化学物質の震災対策
東日本大震災では、地震によってガスや石油タンクが破損して大きな火災が発生し、毒物・劇物のタンクも、ひび割れや破損などの被害がありました。都内では地震の揺れにより、毒劇物ではありませんが、トリクロロエチレンを含むガスが工場内に充満し、死者が発生するという被害が生じました。
毒物劇物取締法に指定された毒物・劇物については、製造・輸入・販売などの事業者に登録が義務づけられています。大震災を受けて、都は、昨年5月から毒物・劇物の大規模タンクを持つ事業者の調査を行いました。立川断層の危険性も指摘される中、多摩地域にも大きなタンクを持つ事業者が約80も存在しており、十分な対策が必要です。都及び保健所ではタンク保有事業者に対する定期的な立ち入り検査を実施し、日常の点検体制や、事故時、毒物劇物流出時の安全設備の有無など、震災対策の実施状況などを確認しています。
また、大学をはじめとする学校施設は、少量多種の毒物・劇物を保管しているにもかかわらず、業務上取扱者の届け出が不要とされていますが、今回の大震災を契機に、都は昨年10月、学校関係者を対象とした講習会を開催し、定期的な立ち入り検査を実施するとしています。特に小中学校は、災害時の避難所になることも多く、安全対策の見直しが急務です。
危険な化学物質は住宅の近くにも存在し、地震によって火災の原因になることもあります。対策の必要性を周知することが大切です。
東京・生活者ネットワーク広報室