東京都は、今年5月「緑施策の新展開〜生物多様性の保全に向けた基本戦略」を発表した。これまでも都は、既存の緑を保全するための地域指定や、自然保護条例にもとづく開発許可制度と緑化計画書制度を通じて一定程度の緑地確保や創出を図る施策を実施してきたが、緑の減少はなかなか食い止めることができていない。たとえば、市街地で4万平方メートル開発される場合でも、そこがグラウンドだったため、「自然地」が含まれていないという理由で許可制度の対象とはならず、そこに戸建て住宅が建つ——結局、緑化計画書制度の対象にもならない。また、都議会には、開発によって失われるオオタカやホトケドジョウの棲息地保全を求める請願や陳情が多くの住民から提出されているが、開発が中止されたことはない。
「緑施策の新展開」には「開発行為が生態系に与える影響を緩和する新たな仕組み」が将来的な方向性として示されている。緑が減っていく現在の状況を踏まえて、開発許可制度と緑化計画書制度を見直していくことが期待される。また、「緑施策の新展開」が都の「生物多様性地域戦略」であるという位置づけから、緑の質についても向上を図ることにしている。
生活者ネットワークは、今後、緑の質と量を確保するための実効性のある制度設計を求めていく。