震災から1年以上が経過しました。しかし、福島原発事故がもたらした放射能の影響は東日本を中心に全国に及び、私たちの将来に多くの不安をもたらしています。東京都では、この間、空気中放射線量の測定ポイントを増やし、上下水道やごみの焼却灰、農水産物、学校給食食材などについて放射性物質の測定を実施してきました。
放射能汚染は今後、山から川、海へと広がることが心配されます。汚染された大地、海洋がもたらす食品の放射能汚染——市民が食品の安全性を判断するためには、身近なところに測定器を置き、食材を持ち込んで自ら測定できるようにすることが望まれます。測定を行う市民団体が各地に発足していますが、測定器の数が少なく、精度の高い測定を行うには時間もかかります。機器の設置とともに、適正な検査を行える人材・支援者の育成や研修なども急がれる課題です。
東京都は、環境確保条例にもとづき、これまで水質、土壌、大気などの汚染防止対策に取り組んできました。国に先駆けて取り組みを進めているものも少なくない一方で、現行の条例には、放射性物質に関わる規定がありません。汚染対策を実効あるものにするための規定を設けるよう検討を開始すべきです。
3・11福島原発事故は未だ収束には遠く、放射能汚染は多岐の分野にわたり、また長期間向き合っていかなければならない問題となってしまいました。生活者ネットワークは、放射能汚染問題への継続的な取り組みとともに、都として局を越えて放射能専門の部署を設けるよう提案しています。