第2回水色サロン「「“学び“を支える無料塾 ~関係性の貧困解消~」

対象は「塾に行っていない子」
 12月12日、経済的な理由などで塾に通っていない中学生を対象の、「中野よもぎ塾」を主宰する大西桃子さんをお迎えしました。
 塾を始めたきっかけは、行きつけの飲み屋のマスターに頼まれた家庭教師。現在中学校1年生のマスターの子どもが小学2年生の時に学級崩壊がおこり、4年生になるまで授業がなかなか進まない中で、塾に行っている子と行っていない子で大きな格差ができていることに怒りを覚える。その頃、八王子つばめ塾をテレビで知り、大学時代の後輩や飲み仲間と相談して昨年4月からはじめる。

授業の後のディスカッションで築く関係性
 授業は毎週日曜日の夕方6時から3時間で、初めの2時間はマンツーマン、その後1時間は集団授業を行う。雑誌AERAに掲載されたなどをきっかけにでボランティアスタッフが約60人にも増えた。代表の大西さんと副代表を中心に面談して安全な人物か確認し、子どもに合わせて毎回マッチングを決める。
 1時間の集団授業では、この多彩なボランティアの仕事ぶりを聞いたり、衆議院議員選挙の争点などをみんなでディスカッションしたり、俳句などの創作活動など、向学心を刺激するような内容で実施。子ども同士でも助け合える相互扶助の関係を育んできた。

勉強できる環境にない子どもたち
 塾生は、8割がたシングルマザーの親子で、現在24人。昨年度は、2名の中学3年生を2人とも第1希望の高校に進学させた。

 費用は公共施設の使用料やコピー用紙代など基本的な出費としては月に5000円ほど。教材や寄付金が集まってきているので、困らない。
 部屋が狭い、兄弟が多く学習机がないなどの環境で暮らし、学校外では勉強の機会がないままにどこがわからないかもわからない子どもたちは、一緒にドリルを広げるだけでスポンジのように吸収していく。
 「だって、楽しいから」続けているという大西さんは、現在中野駅周辺で実施しているが、ニーズの高いエリアである西武線沿線などでも無料塾を開いてくれる人を探している。