日本最大級の環境展示会 エコプロダクツ2009

スペシャルプログラム 「本当のグリーン・ニューディールとは何か?」に参加して

                   2009.12.13  田辺雪子

まずエコプロダクツ2009の実行委員長でアドバイザーの山本良一氏(東京大学生産技術研究所教授)による基調講演:
世界の気候・気象データから、このまま地球温暖化を放置すれば焦熱地獄となる事、世界は低炭素経済へむけて急速に動き出している事が述べられた。

ついで、パネリスト2名による話:
三橋規宏氏(千葉商科大学政策情報学科教授)のグリーン・リカバリーが大変興味深かった。
リーマンショック後世界同時不況からの回復〜20世紀を支えた石油文明の崩壊〜石油をジャブジャブ使って、大量生産、大量消費による豊かさを求める経済発展の時代は終わった。これからは地球の限界と折り合える新しい成長時代〜環境保全・資源循環型の低炭素経社会を目指す。そのために、環境保全型の公共投資、農林水産業の再生、省エネ、新エネ、省資源、リサイクル分野のイノベーションを通して新しい成長を目指すための仕組み(制度設計)をつくり、経済を回復させる。
キーワードはデカップリング。つまり化石燃料の消費量と経済成長とが比例していた今までの社会から、化石燃料の消費量と経済成長が半比例する社会を目指す。
すでに1990年と2007年を比べた図でスエーデン、ドイツ、イギリス、デンマークでは温室効果ガスは減らしてGDPは増やしている。つまりデカップリングに成功している例。反対にアメリカや日本にはデカップリングの考えはなく、温室ガスを増やしてGDPを増やしている劣等生。
デカップリング政策でグリーン・リカバリーを推進するには新しい主役たちの登場が必要つまり:
1、使命感を持ち、リーダーシップのある政治家
2、企業家精神に富んだ経営者
3、グリーン・コンシューマー、グリーンインベスターの担い手としての国民

有村俊秀氏(環境と貿易センターのセンター長)はアメリカのグリーンニューディール政策についての話で、グリーンニューディールをグリーン・ジョブとして、衰退するブルーカラーをグリーン・ジョブで吸収しようとしている事や、自然エネルギーを国内の適地で集中してつくり、大量消費地である都市部にITなどを駆使してスマートグリット(賢い送電網)で送る話など。しかしオバマのグリーンニューディールは中々困難な道であることなど。
また日本で余り評価されない鳩山宣言は海外では話題となっている事など海外での最前線の話をされ興味深かった。