しっかりしなきゃ!介護保険 しっかりさせるのは市民力!

今後高齢化が進み看取りの場もなくなる???

9月20日、介護保険が始まる前の1989年から高齢者問題(保険、福祉)に関心を寄せる市民たちにより立ちあげた、今年で19回目になる「NO!寝たきりデー2008」に参加してきました。介護保険が始まるまえから市民サイドにたったアンケート調査を開始、介護保険が始まってからも継続して検証し、介護の社会化が本当に進んだのか毎年さまざまな提言をしてきています。

厚生労働省老健局老人保険課の重元博道さんから報告された現状は、
これからは特に都市部において高齢化が急速に進む。
・死亡の場所が昔と逆転して最近は自宅1割強、病院8割強になっている。
・今後の看取りの場所は医療機関の拡大があまり望めないので、介護施設を1.5倍に増やしても自宅でも医療機関でも介護施設でもないその他の場所になる人が、出てくる。(衝撃でした。)その他としてはケア付住宅などが考えられるとのことですが・・・・
介護従事者の現状は、報酬が全事業に比べ月10万円ほど低い。施設を作っても介護従事者を確保出来なくて、施設に空きがでているのが現状
離職率も介護従事者の方が全事業に比べ高い。(いわゆる3Kですかね。)
・介護事業所の経営状況は特養や老健、グループホーム等の施設や、訪問介護、通所介護では成り立っているが居宅介護支援では赤字になっている。(在宅介護を進める方向なのに!)

市民側からの報告
・菅原敏夫さん(NPOサポートセンター副理事長)
介護報酬の引き上げは介護職給与の引き上げの必要条件ではあるが、介護報酬が給与に直接結びつくわけではない。どんな条件が満たされれば、介護職の給与が引き上げられ、生活が安定し、離職率が低くなるのかはよく分かっていない。厚生労働省は来年度予算で1億円をかけて実情を調査するのだそうです。」
・嶺学さん(介護の社会化を進める1万人市民委員会in八王子代表)
「地方のレベルではどうしょうもないが、国のレベルで、制度・政策を変えようと多くの草の根市民組織が連携して、必要な制度改善を国の行政に働きかけていこう。」
・井上宮子さん(介護家族を地域で支える会「わあくす」代表)
これからは介護者支援が大切!地域を巻き込む事を考えてやっている。」
・沖山一雄さん(株式会社ほっと・すぺーす代表取締役、練馬区介護サービス事業者連絡協議会副会長)
「現在の人情の希薄な地域社会の中で、人間関係をつくれるのは介護などの福祉、教育、環境、まちづくりしかありません。そして、これからますます高齢化が進むが、労働条件の悪い介護職にこそ介護の面白さがある。介護職は報酬のみでなく生きがいがある!」(すごーい、なるほど!)

介護現場に人が集まらず、看取りの場もなく、しかも介護保険料は上がる・・・と寂しくなる現状ですが、地域で元気に活動している人達の報告には光がみえました。そして地域生活支援事業の余っている予算で地域の人達の支えあいを地域のシステムとしてやっていけ!など声をあげていく大切さを実感しました。
                   田辺雪子