普段使いの食器に、野の花を生ける

 このところ華やかな花屋さんの白い花が部屋いっぱいにあり、落ち着かない心持でしたが、小さな花たちにほっと一息つかせてもらいました。

 余命1週間と言われ退院してきた義父が96日生き延び、好きなものを食べ、亡くなる日までタバコを吸い、あまり苦しまずあっけなく逝ってしまっって20日過ぎました。胃がんを患い、介護保険も要介護1から2へ、そしてこの5月からは要介護4になったところでした。
 電動エアーベッド、入浴サービス、ヘルパー派遣とケアマネージャーにお世話になり、地域の終末期医療を引き受けてくださった内科の医師と看護士による訪問医療、酸素吸入・・・。そして家族の協力で何とか最期まで在宅で看取ることができましたが、本当に大変でした。

 国は今後、医療費削減の為療養型病院を減らし、在宅で看取ることを望んでいるようです。まだ計算していませんが、果たして本当に医療費削減になるのかわかりません。家族の負担は想像以上に重かったといえます。さらに生活者ネットワークが提唱してきた「子育て・介護は社会の仕事」からどんどん遠のき、個人の肩にかかっているように思えてなりません。
 
 そんな折り、「小さな器に季節の花を活ける」お花教室に参加しました。先生は、フラワーアーティストの小島章子さん。
 生け花というと敷居が高かったのですが、その花の形そのままにそっと器に入れてみると・・・、意外に楽しいものでした。誰でも自分流に活ける楽しさを教わりました。”みんな違ってみんないい”すずさんの詩の一節が浮かんできます。

 那須の山や畑から届いた花、ヤシャ、ウツギ、ホウチャク草、レンゲ、ニンドウ、チゴユリ、フロックス、ギボシ、ベルテッセン、黒百合、クマイチゴ、アジサイ・・・。初めてお目見えする花々を自由に組み合わせ、遠く那須の山々に想いを馳せる、ステキな時間をいただきました。     大橋美紀